【雇用形態】派遣業界人の生の声!派遣社員のその実態とは?

働き方改革や加速する少子化、経済の低迷などにより、日本的雇用といわれる正社員で定年まで働くという考えを持つ人も少なくなり、近年では雇用形態も多様化しています。

その中でも、人材派遣会社の発展や法改正により労働環境が整っている、派遣業界の実態やメリット、デメリットなどについて解説します。

はじめに

派遣業界と聞くと、安定性がない、給与が低いなど、あまりいい評判を聞かない方が多いのでないでしょうか?悪い印象を植え付けられてしまっている業界でもあり、未だ世の中からの評判が、厳しい事情にあるのも事実です。

しかし、派遣業界にも一般企業にはない、独特の良さがあり、また、日本の法的にも勤務体系が、大幅に良い方向性に改善されてきているのも、また事実です。そんな派遣業界に勤めることのメリットや、デメリットについて、解説します。

派遣業界の実態とは

実際、派遣業としての仕事は、一般的にアルバイトと同じ感覚を持たれている方が、非常に多いかと思います。そのため、やはり一般企業や正規雇用で働かないと、安定性が無いと感じる方が多く、その固定観念から、派遣業では生活していけないと、感じてしまいやすいのです。

しかし、それは本当ですか?なぜ、そう思うのでしょうか?それは、過去に起きた派遣切りなどの様々な問題が、国民に雇用の不安定性や不安感を作ってしまったためなのです。しかし、現代ではそうした問題が一つずつ解決されてきているのも、また事実です。

派遣業では、生活ができないのか?

「派遣業では、生活ができない。」これは、大きな間違いです。実際、派遣という仕事には、それを経営する社員や営業する正社員も数多く存在し、生計を立てています。一般企業の方よりも、月給が良い方も多く存在します。派遣だから安定しないというのは、正しいとは言えないのです。

ただし、派遣業で生計を立てるに当たって、苦しい生活をしている方がいるというのも、また事実です。それは、実際に企業に赴き、派遣社員として仕事をしている方達の一部です。

派遣社員としての収入だけで生活することは、今の日本の現代社会ではとても苦しいものであり、総支給でもらえる収入も、400万円を満たない方が多い点にあります。

その理由として言えるのが、派遣一人が稼ぐ売り上げの約4割は、派遣会社の収益になるためです。働いても半分近くの収益が派遣会社の利益になるため、お金を稼ぎにくいのが実情なのです。また、そうしたデメリットが、派遣社員のモチベーションを奪っていくのです。毎年の派遣法の改定によって、雇用体系は、少しずつ良いものにはなっていますが、まだまだ安定した働き方が、しにくい方もいると言えるでしょう。

派遣業の2つの雇用形態とは

派遣という働き方は、実は一つの雇用形態だけではありません。派遣業の雇用形態には、「一般雇用派遣」と「特定雇用派遣」という2種類の働き方が存在します。それでは、この2つの雇用形態について解説していきましょう。

一般雇用派遣

一般雇用派遣という働き方は、アルバイトに近い働き方であり、この一般雇用派遣というものには、大きく分けて5つの特徴があります。

<一般雇用派遣の特徴とは>
・時給制の扱い
・交通費が実費
・健康保険や厚生年金は、派遣組合に加入
・長期休暇時の収入が無い点
・3ヶ月更新や満期満了で契約が打ち切られやすい

アルバイトと同じように時給制の扱いとなるため、毎月安定した給与を得ることができないという特徴があります。また、交通費が実費になる点にあります。しかし、健康保険や厚生年金は、全て派遣組合に加入することになるため、国民健康保険などは自らの手続きが要らなくなります。

正社員や契約社員とは異なり、固定給としての給与を得ることができないため、特に夏休みやGW休暇、年末年始休暇があるときには、収入が減ってしまうのです。

特定雇用派遣

特定雇用派遣の雇用形態は、一般雇用の派遣社員とは、大きく異なり、大きく分けて6つの特徴があります。

<特定雇用派遣の特徴とは>
・固定給
・正社員もしくは契約社員としての雇用形態
・交通費は会社負担
・健康保険や厚生年金は、派遣組合に加入
・固定給であるため長期休暇時の収入の心配がない
・一般雇用派遣とは異なり、3ヶ月更新や満期満了で契約が打ち切られにくい

特定雇用派遣は、その派遣会社の技術社員として雇用されるため、派遣元の正社員もしくは契約社員として勤務することができ、実際に勤務するのは、派遣先事業です。

当然給与は、派遣元から支払われるため、固定給の扱いで支払われます。また、一般雇用派遣とは異なり、交通費等も会社が負担し、健康保険や年金も厚生年金であるため、一般企業と同じように勤めることができます。

また、企業に派遣される派遣社員でありながら、派遣会社の正社員として勤務するため、企業によってはボーナスが支給される企業もあります。そのボーナスも、基本給の目安1.5倍以上の企業が多いでしょう。

契約社員は、安定しているように感じますが、ボーナスが入らないため、一般雇用派遣の時給制よりも利益が低いことも多いため、安定した固定給とは言えないのが実情です。特に中途入社の人は、最初から正社員として入社できる人は少なく、契約社員からスタートされる場合がほとんどです。

「一般雇用派遣」と「特定雇用派遣」どちらで契約した方が良い?

では、こうした知識を知った上で、実際、派遣業界に勤務するのであれば、どちらの雇用で働くことが良いのでしょうか?

当然、特定雇用派遣の雇用形態は、契約社員や正社員としての勤務になりますので、一般企業と同様、細かな面接を受け、内定を受ける必要性があります。一般雇用派遣における働き方は、入社しやすい分、長期的な就業が難しく、雇用の安定性は低いのが実情です。3年未満で働くことの方が多く、定期的に仕事先を変えなくてはいけません。安定性を考えるのであれば、断然特定雇用派遣での働き方がオススメです。

しかし、一般雇用派遣におけるメリットがあることもあります。それは、給与面における観点です。特定雇用派遣は、固定給であるのに対して、一般雇用派遣は、時給制による働き方になっているため、月毎の支給金額では、固定給の正社員の月給より多いことがあります。そうした点だけをみていると、一般雇用派遣でもいいのではと、感じてしまうこともあるのです。

このように、一般雇用派遣と特定雇用派遣には、月給を求めるか、先への安定性を求めるかによって、どちらにも良し悪しはありますが、それは自分の働き方次第で、選定していくことが大切になるでしょう。

派遣業界で勤務するデメリットとは

それでは、この派遣業界に勤める上で、どんなデメリットがあるのでしょうか?デメリットについてご説明していきましょう。派遣業界で勤務するデメリットには、大きく5つのデメリットが挙げられます。

給与面の低さ

給与に関しては、年収が400万円を超えない人が多く存在します。月収が30万円以下の方が多いでしょう。

昇給制度が確立されていない

昇給制度が整っていない企業が多く、また、企業評価が良く、単価が上がっても、給与に直接反映されないケースがあります。

派遣契約が解除時の不安

派遣先企業業績の悪化や企業との契約満期を迎えた後に、次の企業を探す場合、1~3ヶ月の自宅待機が命じられます。しかし、その後新たな派遣先が見つからない場合は、能力がないと判断され、契約を解除される可能性があります。

希望の分野に勤めることができない可能性がある

最初の契約先が解除された場合、新たな企業先への決定は、その時期に他企業が募集をしているかどうかに依存してきます。そのため、目的の分野の募集がなされていない場合では、自分の行きたい企業とは異なる企業に勤めなくてはいけないこともでてきます。

長期的な病気になると契約が解雇される可能性がある

病気等による長期休暇には、大手企業とは異なり、休職期間が目安1~2ヶ月と短く、それ以降は、正社員でも契約が解雇されてしまう可能性があります。

派遣業界で勤務するメリットとは

この派遣業界に勤めることは、決して悪い点ばかりではありません。その派遣業界に勤めるメリットをいくつかご紹介していきましょう。派遣業界で勤務するメリットには、大きく5つのメリットが挙げられます。

ストレスから守られやすい

派遣先に出向いての業務をするということもあり、派遣法により過重労働させられない法律によって社員が守られています。また、何かトラブルがあっても、各派遣会社にもカウンセラーがいて、派遣社員の労働状況のヒヤリングし、適切に業務ができているのかどうかを把握してくれる環境が整っています。

自分の時間を作りやすい

派遣業の良さは、なんと言っても、強く派遣法に守られ、定時に終わる様な形態や、残業調整をするような企業も多く見受けられます。そのため、自分の時間を多く作ることができる良さを持っています。

各種手当の充実

特定雇用で働く社員は、家族手当や住宅補助があったり、通信教育が無料で受けられたり、保養所が設けられている企業等も多く存在します。給与面の部分をカバーする、様々な企業独自の取り組みがされている企業もあります。

雇用契約の延長制度

従来では、満期満了期間が3~5年と定められていた法律が、雇用契約の制度が改定され、現在では、派遣先に10年以上勤務される方もいる程、長期契約できる制度があります。

大手企業に勤務できる

派遣業界の取引先には、大手企業との契約をしている企業が多数存在しているため、大手企業に就職しなくても、働くことができるメリットがあります。また、大手企業に勤めることは、働きやすい環境が整っていことが多いため、仕事がしやすい環境の中で働くことができ、仕事のやりがいを感じることができます。

まとめ

派遣業界のクチコミや、過去の派遣問題によって、派遣業界の悪い固定観念ばかりが露呈してしまった反面、いい点もたくさん存在します。現在の日本経済の悪化によって、一般企業が苦しい中、その影響を一番受けやすいのが、派遣会社の人間であることも事実です。

派遣法の改定が進む中、雇用満期も3年満期契約があった時代に代わって、今ではその満期がなくなるような改定も進んできており、長期に勤めることができるようになってきています。

一般企業でも、低賃金であるにも関わらず、過重労働をさせられる企業は、多数存在しますので、一概にも派遣業界ばかりが悪いという見解は、今の時代においては、正しい見解とは言えないのかもしれません。過度な仕事をさせられることから守られていて、ある程度の賃金が確保できるのであれば、低賃金で過度な労働をさせられる一般企業と、どちらが良いと思うでしょうか?

これを比較して考えてみると、もしかしたら、今の時代派遣という働き方は、一つの働き方として、悪くない働き方の一つなのかもしれません。クチコミや過去の固定観念だけにとらわれず、今の本質的な派遣業界の良し悪しを、知ることがとても重要なのです。

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