福岡発祥のチーズケーキショップで、台湾やカナダ、アメリカなど世界各国にフランチャイズを展開する会社、Uncle Tetsu Cheesecakeのオーストラリアシドニー店にて、マネージャーを務める日本人女性20代中盤のキャリア・仕事内容についてご紹介いたします。
Contents
はじめに チーズケーキショップの概要・仕事内容について
私が勤めているUncle Tetsu Cheesecakeは、日本のスフレタイプのチーズケーキをメインの商品としたケーキショップです。台湾やカナダ、ニュージーランドに直営店を経営し、ロサンゼルスやハワイ、香港といった世界各国でフランチャイズ展開を行っています。
私が担当しているシドニー店の従業員数は60名程度で、主にケーキやチーズタルトといった商品を販売する飲食店経営のマネージャーをしています。仕事内容としては、売り上げの向上のための案を作成・実行したり、従業員・在庫の管理や日々のオペレーションの管理を行ったりしています。
ケーキショップマネージャーの一日の流れ
お店は最初の従業員が9時30分に来て、22時30分に帰るまでの計13時間開いています。私はそのうちの夜のシフトを主に担当しています。
マネージャーの一日と、一般従業員の一日をご紹介します。
マネージャーの一日
11:00 (出社前)自宅にて前日の売り上げの業務日報を作成。ヘッドオフィスに報告メールを書く
13:30 出社
14:00 その日の朝の売り上げ、お店の状況を確認。必要であれば従業員に指示を出し、お店の効率化をはかる
15:00 オフィスにて今後の売り上げ向上に向けた会議
16:00 新しいスタッフの採用面接
17:00 休憩
18:00 材料や包材の発注があれば行う
19:00 一日の製造量の調整とお店のクローズに向けて、掃除や生産ストップの指示を出す
21:00 店の清掃を行う
22:30 明日の準備を整え、お店を閉める。売上金の管理を済ませ、退社
一般の従業員の一日
〈午前シフト〉
9:30 出社。昨晩の仕込みを使って、各セクションごとに分かれて生産開始
14:00 休憩。この時点でケーキ120個、タルト500個、カップケーキを120個ほど生産していることになる
15:00 生産再開。忙しければ、ひたすら作り続けるが、時間があれば、クッキーなどの小さな商品を作る
18:00 退社
〈午後シフト〉
13:30 出社。午前シフトの人が休憩に出るため、生産を引き継ぐ
17:00 休憩
20:00 生産を止め、片づけを開始する。一日の生産量は、ケーキ300個、タルト1500個、カップケーキ250個が平均的
22:00 片づけを終わらせ、退社
チーズケーキショップマネージャーの給料やキャリアデザイン
(小さな家族経営のお店なので、昇進の目安やお給料の設定の仕方が曖昧なため、自分の経験に基づいた記事になります)
オラリアーストNSWのただいまの最低賃金は18ドルほどです。私は一週間に50時間ほど働いていましたが、初任給は月$3200(28万円)ほどでした。私はワーキングホリデービザを使っており、税金が15%なので手取りは$2700(24万円ほど)でした。
毎週シフトが出るのでそれに合わせて働きます。働き始めた当初は人が少なく、大変な時期だったので、週7日あるいは6日は働いていました。
仕事を始めて3か月後にマネージャーに任命されるまでは、あまり休みがありませんでしたが、自分がマネージャーになってからは、できるだけ週休二日が取れるよう、出勤日に効率的に働き、工夫していました。それでも、何か店舗で問題が起きたときなどは、休み・出勤時間関係なく対応しなければならなかったです。
ポジションが上がるにつれ、月給も上がり、今のところ、マネージャー職で手取り34万円ほどです。ボーナスの制度はないので、年収に直すとそんなに多くないのが現状でした。
残業が多く、働く時間もまちまちなので、家族がいるかたには不向きです。また、週末はかき入れ時なので基本的に休めません。とにかく体力に自信がある20代にしか向かない仕事かと思います。
オーストラリアで働くことで苦労したこと
オーストラリアは最低賃金がほかの国に比べ格段に高く設定され、年休や有休の制度なども発達し、労働者にとって働きやすい環境を提供する国の一つです。もちろん私のような外国からの労働者(non resident)に対しても同じ法律が適応されますので、お給料は日本に比べて格段に高くなっています。ただ、日本企業に就職したので、無給の残業があったり、独特の上下関係があったりします。
私は英語を話すことができたので、日本人以外の従業員への指示等には、基本的には困りませんが、日本の独特の企業風土を持った会社の枠組みと、時間やお金に対して敏感な日本人以外の従業員との文化の違いのはざまで苦労しました。たとえば、残業があたりまえの会社風土と、自分が働いた一分一秒にコストがかかることを意識している文化を持つ国の従業員とをうまくかみ合わせながら、お互いの不満をためないようにバランスをとることが大変でした。
オーストラリアはワーキングホリデー協会加盟国なので、一年(郊外の農場や工場で3か月ほどはたらけば2年に延ばすことも可能)の間は、ワークビザのような形で働けます。
しかし、自分の人生のキャリアを積みたい人にとっては、一年後の保証はなく、会社がビザを申請してくれる確率は特殊な職種でない限り難しいので、将来性にはかけます。
一方、あたりまえですが、日本人にとっては日本で働くことについてビザの問題等もなく、会社側も長いスパンで働いてくれる人を探している場合が多いと思うので、自分のキャリアのビジョンがある人、あるいはその会社で経験を積みたい人にとっては、日本で自分に合った会社を探す方がよいかもしれません。
ただ、自分のしたいことがまだ見つかってない方、日本で何年か働いた後に、他の仕事をしてみたい、他の国で生活してみたいという方にとっては、一年の猶予付きであることがむしろいい方向に働くともいえます。
たいていの場合は、アルバイトのような形でワーキングホリデーの人は働きますが、私は自分を一年の契約社員の形で受け入れてくれる会社があったので、お世話になりました。日本だったら、すぐにストアのマネージャーなどの役職になることは難しいですが、実力主義の海外では、大きな仕事をもらえることもあります。
この会社に就職した方法
大学時代にインターンシップをしていたつながりから、こちらの会社に就職しました。大学4年生の時に、どうやったら海外で仕事ができるのかを模索しているときに、知り合いのかたから、世界中でケーキショップをフランチャイズ展開している会社の会長を紹介してもらいました。それが、今働いているケーキショップの会長でした。
半年ほど会長の秘書兼かばん持ちをさせてもらい、英語力と海外就職を望んでいるという2点から、会長のアシスタントとして世界中をついて回りました。タイのバンコクやカナダのバンクーバー、トロント、オーストラリアのシドニーなどを3か月かけてまわりました。その当時はまだオープンしていなかったシドニー店の物件契約の交渉等の場で、通訳及び秘書の仕事を主に担当させてもらいました。
その後大学を卒業し、新卒として今の会社に就職しました。ほかの企業の面接等も受けたのですが、受け入れてもらえるところが一件もなかったこと、また海外にすぐに赴任させてくれる会社は皆無だったこともあり、会長に相談したところ、オーストラリアのシドニーで働いてみないかということになりました。知人の紹介だったので、いわゆる一般的な就職試験や面接というものはありませんでした。
しかし、今思えば、インターンシップ中の働きを見られていたのだろうと思います。海外での仕事なので、英語力はもちろんですが、機転を利かせること、あるいは堂々とした振る舞いが必要とされます。この会社では、そういった一般的な試験でははかれない部分を基準に社員を採用をしているように思います。
私以外の社員も一般の従業員として仕事を始め、実績が認められれば社員になる方も多くいます。また、台湾やカナダといったほかのワーキングホリデービザに加盟している国々にも直営店を持っていますので、カナダのUncle Tetsu Cheesecakeで一年働いた後、そのスキルと経験を生かして、オーストラリアやニュージーランドの直営店にワーキングホリデービザで継続勤務する人もいます。
はじめは、一般社員として働き、徐々に実績が認められればマネージャーとして昇格することができます。特に、人の入れ替わりが激しい職場だったので、人によっては短い期間で役職に就くことが可能です。私の場合は、仕事を始めてから2か月後にマネージャーの役職の話をもらい、1か月の研修を経て、マネージャー業務を一任されることとなりました。
まとめ
オーストラリアという外国の国で、日本のチーズケーキを広める仕事にやりがいがあります。この会社は台湾、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど、ワーキングホリデーの国々を中心に直営店を展開している会社です。
さまざまなワーキングホリデーの働き方がありますが、一つの企業をとおして、いくつもの国で働くチャンスがある点では、海外で働きたい方には向いていると思います。